研究テーマ | 生命現象で見られる振動や同期現象の研究 |
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心臓の鼓動をはじめ、脳波など、生命活動には明確なリズムが存在します。この様な自律的な振動現象はどのように生じているのでしょうか。この研究室では、物質や生物の世界で見られる時間・空間的振動や同期現象のダイナミクスを理学的に研究し、それを工学や環境科学へ応用するための研究を行っています。主に、化学反応、代謝反応、細胞を対象として、物理化学、数理科学、生物物理学を基礎に、実験と数理モデルを駆使して研究を進めています。
これまでに、がん細胞のエネルギー代謝において細胞内の代謝産物濃度が時間・空間的に振動する様子を1細胞レベルではじめて観察することに成功しました(2017年)。最近では、がん細胞とは生物学的に全く異なる脳細胞が、がん細胞のように糖代謝振動を起こすことを理論的に予測し、この仮説の検証を行っています。なぜ細胞は振動や同期を起こすのか。そのメカニズムと生命機能を探求しています。
研究テーマ | 人々の幸せに役立つ分子集合体構造を利用した素材開発 |
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極性、非極性溶媒にそれぞれなじむ分子構造をもつ界面活性剤や脂質などの両親媒性分子は界面吸着や溶媒中での分子集合体形成を行います。当研究室では様々な形態をもつナノサイズの分子集合体(ミセル、ベシクル、バイセル、リオトロピック液晶など)について小角X線散乱、動的光散乱、熱分析、顕微鏡観察などを利用して構造解析と構造変換の原理を調べ、それらの知見をもとに分子集合構造により特徴づけられたソフトマターのレオロジー特性や構造安定性などの材料特性を理解する研究を行ってきました。しかし、それらの集合体は機械的強度が低いことが材料としての利用を妨げる場合があります。生体系では柔らかい細胞膜を機械的強度に優れる細胞骨格が支えることで高い機能性と構造安定性を両立させています。それに倣い、機械的強度に優れている超分子集合体と両親媒性分子集合体を共存させたオルソゴナル自己集合系を構築し、その構造と物性についての研究も行っています。
研究テーマ | 性能評価のためのアセスメントツールの開発とその評価 |
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人間の注意力は、生理身体的特性(加齢、疲労等)により、その持続性に大きな影響を受けます。不注意がもとで、周りの人に迷惑を掛けたり、予期せぬ事故の原因の芽となったりする場合もあります。
このような事象の発生および被害拡大を最小限に抑える事を課題とし、防火分野、特に火災感知器の作動あるいは迅速な避難行動、消火・救助活動に影響を及ぼす熱気流の流動性状および煙制御を主としたテーマを研究対象としています。
具体的には、実大規模での火災現象を相似則に基づく模型実験、実験的に測定しきれない現象に関する知見を取得するための数値流体力学に基づく数値実験と、両実験からのアプローチにより、対象とする現象を解明する事で、様々な実践的、工学的手法の提案に取り組んでいます。
また、活動中の消防隊員から非侵襲的に取得した心電位波形情報から、体内に取り込んだ酸素を上手に活用した状態であるか否かを示す指標と心拍数の時間変化の追跡、活動状態をリアルタイムで見える化する為のシステム作りにも取り組んでいます。
幅広い問題に取り組むために、研究テーマの多くは、様々な専門知識を持つ研究者との共同研究として進めています。
研究テーマ | 分布型化学物質計測技術の高度化を目指したセンサデバイスの開発 |
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水素は次世代エネルギーシステムにおけるエネルギーキャリアとして注目されています。この水素を安全に扱うため、Pt/WO3薄膜の水素に対するガスクロミズム現象を利用したエバネッセント波吸収型光ファイバ水素センサや水素の触媒燃焼熱を光ファイバグレーティングで捉える多点型水素センサを開発しています。センサ素子といえば点計測を行うスポット型のものを想像する場合が多いですが、光ファイバ技術を応用すれば、一本のケーブルに沿ったライン計測が低コストで実現できる可能性があります。当研究室ではこのような化学物質の高次元計測技術を目指しています。これらのセンサは、分布型水素漏洩検知デバイスとして空間的に広い範囲に適用できるので、水素輸送・貯蔵をはじめとする大型水素インフラを安全に運用するための要素技術として大いに期待できると考えています。弊研究室ではその他にも材料の化学的劣化現象(主に腐食)の抑止技術や健全性評価手法の開発にも注力しております。
研究テーマ | 機能性材料の創生 |
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コロイド、ゲル、ミセル、エマルションなどのソフトマテリアルは、食品、化粧品、医薬品、新規材料など幅広い分野で注目、研究されています。当研究室では、ソフトマテリアルを用いた新しい機能性材料の開発を行っています。例えば、マイクロ流体デバイスを用いて、新しい機能性エマルションや微粒子を作製する研究です。マイクロ流体デバイスにより、単分散性の高いシングルエマルションやダブルエマルションを作製することができ、コアやシェル部分にさまざまな材料を用いることで、機能性食品エマルション、マイクロカプセル、機能性微粒子などが作製できます。またコロイド微粒子の周期配列体であるコロイド結晶を、大面積、高品質で作製する新しいプロセスの開発と得られた結晶をフォトニック結晶として利用する研究を行っています。コロイド結晶と高分子ゲルを複合させることにより、光学ストップバンド波長を調整できる、チューナブルフォトニック結晶として利用する研究も行っています。
研究テーマ | 化学物質を安全に管理して環境リスクを最小化する仕組みを作る! |
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環境リスクが心配されるたくさんの化学物質を安全に管理しながら使用できる ようにするには社会にどのような仕組みが必要か、そのためにどのような要素技 術や基盤情報が必要かについての課題解決型・政策提案型の研究に取り組 んでいます。具体的には、GC-MSやLC-MS/MSなどの高性能な質量分析装置 を用いてppb(10億分の1)~ppt(1兆分の1)の濃度の化学物質を一斉に分析 する技術の開発や、それらの化学物質が大気や水の中に実際にどれほど存在 するかをモニタリングする調査研究を行っています。また、化学物質が環境中で 移動したり分解されることによる環境中運命を予測する研究や、化学物質の環 境中への排出を抑制し環境リスクを低減するための仕組みを提案する研究を 行っています。これらの研究成果を大気汚染防止法や水質汚濁防止法、化学 物質審査規制法、化学物質排出把握管理促進法などの環境保全施策や事 業者の自主管理の取り組みにいかせるようにすることを目指します。
研究テーマ | 化学物質・化学反応をより安全に制御する |
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化学物質は我々の生活を豊かにしますが、いったん化学反応が制御できなくなると、爆発に至ることがあり、その結果、携わる人の身体の損傷や人命の危機、設備の破壊のほか、周辺への環境被害など甚大な影響を社会に与えます。当研究室では、化学反応が暴走しないようにするにはどうすればよいか、安全に化学反応を進行させるにはどうすればよいか、また、豊かな社会に貢献するためにその反応をどのように応用できるか、をテーマに研究を行っています。さらに、さまざまな化学反応・人・モノの集合体である化学プラントを安全に運転するための組織管理を含む管理技術・効果的な安全教育についても研究しています。化学物質を使った実験、コンピュータソフトウエアを用いたシミュレーションや調査研究を通じて、複合的な要素のからむ化学プロセス全体の安全を考えていきます。
研究テーマ | 機械システムのリスクアセスメント |
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研究室では、安心、安全な社会への貢献を目標に、材料の破壊現象の解明やその予知手法の開発に取り組んでいます。現代社会の複雑な技術システムにおいては、便利さの半面潜在的なリスクが潜んでいます。近年は、部品サイズの小型化によりミクロ、ナノスケールの破壊がシステムの崩壊につながるような事例も報告されています。 また、実際の環境に晒される構造物では、環境の変化に起因して予期しない破壊が発生する場合もあります。このような視点から、破壊予知やモニタリング手法の高度化が喫緊の課題となっています。 本研究室では、現在でも不明な点が多いナノスケールでの破壊現象の解明に取り組むとともに破壊予知をベースとする新しい構造健全性評価手法の開発に取り組んでいます。
研究テーマ | 炭素資源の循環社会へ貢献する固体触媒の研究開発 |
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枯渇性資源の直線利用から再生可能資源の循環利用へ、世界は社会経済構造の大きな転換期にあります。化学反応を促進させ、省エネに貢献する触媒は、今の石油化学産業においてだけでなく、今後の持続可能な社会の構築になくてはならないものです。
当研究室では、炭素資源の循環社会の実現を目指し、木質系バイオマスや廃プラスチック等を再資源化する固体触媒の研究開発を行っています。これらの反応のために、自由な発想に基づき新しい触媒や反応プロセスを開発しています。例えば機械的な力を化学反応に応用するメカノケミカル反応があります。この反応によって不活性だった材料に新しく触媒作用を発現させたり、またバイオマスと固体触媒との効率的な反応を行ったりしています。また、放射光施設を利用して、実際に化学反応が起きている状態での触媒作用の解明を行っています。このように触媒化学、反応工学のアプローチにより持続可能な社会の実現を目指して研究を行っています。
研究テーマ | 金属材料の強度信頼性向上技術の開発など社会インフラを支える構造材料研究 |
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当研究室では、エネルギー機器、輸送機器、社会インフラ等で用いられる構造材料の安全性向上と高性能化に貢献するため、以下の研究を行っています。
「金属材料の強度信頼性向上技術の開発」では、レーザピーニングやショットピーニング等の表面改質処理、窒化等の熱処理により、金属材料の疲労強度を向上する技術の開発の研究を行っています。
「自己き裂治癒能力を持つセラミックスの開発と評価」では、各種ピーニングと自己き裂治癒を併用する研究や、稼働中のき裂治癒解明に向けた研究を行っています。
「化学・発電プラント用配管の強度評価に関する研究」では、配管に生じた減肉が破損挙動に及ぼす影響の解明に向けて、配管を使った疲労試験やシミュレーションの研究を行っています。
研究テーマ | 大気環境疫学研究での曝露評価用Land Use Regression(LUR)モデルを構築 |
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環境汚染などによる健康影響を調べる手法の一つである環境疫学、その中でも曝露評価(どれくらい汚染物質等に曝されているか)を中心に研究を行っています。環境疫学研究やその先にある環境(健康)リスク評価を念頭においた曝露評価研究は、必要不可欠となる研究領域であるとともに、さまざまな研究分野の橋渡し的な役割も持っており、諸外国では多くの研究がなされている分野ですが、日本では数少ない研究室だと思います(Only oneかもしれません)。具体的な環境問題としては、大気環境、室内環境を主とし、調査など方法論に関する研究も行っています。「身近な」環境を対象とした研究が多いといえるかと思います。研究方法は、主として現実の環境下での測定や調査票を用いた調査を行い、データを統計的に解析することで研究を進めて行きます。既存データを基に新しいモデル作成のため統計的解析を行うことや、シミュレーション研究もあります。
研究テーマ | 持続可能な未来のためにエネルギーを考える ―政策指向の文理融合研究 ― |
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電気やガスなどのエネルギーは人々が生活するために不可欠なものであり、安定で安価な供給が求められます。また、その利用は自然環境や社会経済に多大な影響を与える可能性を持ちます。それ故に、エネルギー技術の開発や導入は市場原理のみにまかせるのではなく、適切な政策によって最適な方向へ導くことが求められます。例えば、現在、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが期待され、その普及に関わるさまざまな政策や制度が考えられています。当研究室では、それらの策定に貢献するため、経済学と工学をベースに、再生可能エネルギー部門拡張産業連関表と呼ばれるツールの作成と、それを利用したさまざまな分析を進めています。また、エネルギーのことは政府だけに任せておけば良いわけではありません。例えば省エネルギーなどは個々人の意識や行動も重要となります。そこで、心理学をベースとして、人々の省エネルギー行動に与える要因やメカニズムを明らかにする研究にも取り組んでいます。
研究テーマ | 湿式精錬とイオン液体電析の連携による希少金属回収技術の開発 |
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近年、希少金属資源の安定供給策は国家規模で重要視されており、我が国の持続的発展に向けて、希少金属回収技術の開発は必要不可欠な要素です。当研究では廃希土類磁石からの希土類元素(Nd,Dy)の回収を目的としており、「湿式精錬技術」の中枢にDGA系列の抽出剤を有効活用した溶媒抽出法を新たに導入することで、Dyを先行分離する革新的分離技術の確立を目指しています。また、希土類純度の高いイオン液体中からNd, Dy金属を効率的に回収する「低温電解技術」と連携させています。最終的に「湿式精錬技術」と「低温電解技術」を統合することで、二次廃棄物の発生量を低減化し、次世代の技術開発として必須となる環境調和型かつ省エネルギー指向の技術開発を目標としています。
研究テーマ | 水素社会実現のための革新的エネルギー変換デバイス・材料開発 |
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持続可能な社会を構築するためには人為起源のCO2排出を80%削減する必要があるといわれています。日本で消費されるエネルギーの90%は化石エネルギーであり、半分以上は電力を経由せずにCO2になっています。また、太陽光や風力発電の電力供給と我々の電力消費の時間や場所のズレが電力網の運用上の大きな問題になっています。そこで、水電解に代表される電解技術は再エネ電力の変動を吸収する動きをしながら、水素などのエネルギー物質や有用物を製造して、非電力分野を再エネ電化する役割を期待されています。また、製造した水素などのエネルギー物質を効率的に非電力分野の代表である自動車などの移動分野で利用するためには燃料電池技術も欠かせません。私たちの研究室ではアルカリ水電解、固体高分子形水電解、エネルギーキャリア(トルエン)の電解水素化、有用物の電解合成、固体高分子形燃料電池(PEFC)に関して、電気化学工学や無機材料化学の観点から新技術の開発を進めています。最近では、アルカリ水電解や固体高分子形水電解に関する国内外の企業や研究者が材料評価を正確に行うための評価法の開発や標準化に取り組んでいます。これらの技術を用いて高効率化、高耐久化のための電気化学応用システムの開発や、新材料の開発に取り組み、自己修復触媒などの再エネ変動電源下で利用可能な材料を報告しています。また、化学反応により水素を取り込むエネルギーキャリアについて、固体高分子形水電解を応用した直接電解水素化水素法を開発しました。この方法では、電解で水を分解し、水素を経由することなく直接エネルギーキャリアに水素を貯蔵することができ、効率向上が期待できます。現行のPtを大量に用いるPEFCの課題を克服するため、非貴金属酸化物系電極触媒のナノ構造制御により、性能向上に取り組んでいます。以上の研究は国プロや産業界との連携により推進し、水素エネルギーを中心とした持続可能な社会を実現するための基盤技術の開発を目指しています。
研究テーマ | ナノメートルレベルでの物質の構造制御 |
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ナノメートルレベルでの物質の構造制御は、さまざまな技術の基礎をなします。これはミクロンレベルの機械加工とオングストロームレベル(原子・分子レベル)の伝統的な化学の中間に相当し、特に吸着、触媒、電極反応、センサーなどの応用において機能向上、多機能化に欠かせない知見を提供します。当研究室ではナノメートルレベルの構造規則性を持つ物質を調製、その構造と物性を詳細に検討し、それらの構造特有の性質を解明するための研究を行っています。メソ多孔性物質では大きな分子や水和物などの拡散が早いことを利用して毒性イオンの吸着や固体触媒作用などを探求していますが、これらの研究は、現在実用プロセスへの応用が期待されるナノリアクターの基礎となります。卒業研究や大学院の研究で行われているテーマは環境回復、固体触媒、エネルギーなどと密接に関係します。
研究テーマ | エネルギーシステムを制御する安全の科学技術 |
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当研究室では、安全、環境、持続性を備えたエネルギーシステムを制御する安全の科学技術体系構築を目標に研究を行っています。研究領域はエネルギー物質の基礎反応学理構築から、これらを活用したエネルギーシステムのリスクマネジメントなどの社会実装まで多岐に及びます。機器分析技術と計算化学的手法を組み合わせ、実測と理論の両面を重視しています。
研究テーマ | より安全な社会の構築を目指す研究 |
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現在、橋梁などの社会インフラや化学プラントに代表される産業インフラは高経年化しており、疲労や腐食などの材料損傷が生じています。そこで当研究室では、超音波や電磁気現象などの物理現象を材料に入射し、その応答から疲労や腐食などの材料損傷を精度良く検出、評価することができる先進的モニタリング技術の開発を行なっています。また、地球温暖化対策として環境負荷が小さい水素などの新しいエネルギーキャリアの利用が現在期待されています。新しいエネルギーキャリアを用いた技術システムでは、エネルギーキャリア自体の危険性に加え、従来より高圧力、高温度、または、極低温度で使用され技術システムにとっては大変過酷な条件となっています。そこで、HAZID(Hazard Identification)などの定性的安全性評価技術や数値シミュレーションを用いた定量的安全性評価技術を用いて新しい技術システムの安全性評価に関する研究も行っています。
研究テーマ | 分子からプロセスまでマルチスケールの分離システムの創生 |
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持続可能な社会に不可欠な水・エネルギー・食糧問題の解決に寄与するため、化学工学をベースとして、化学、IT、バイオ分野などの先端技術を統合した新しい分離システムの創生を行っています。水問題を解決するため、界面化学を切り口にした分離材料、細孔モニタリング技術、運転・制御の技術の開発を行い、固液分離や膜分離プロセスの飛躍的な高度化を行っています。環境バイオプロセスの開発では、物理化学的酸化、生物的酸化、新規開発した高効率酸素溶解法を統合した高効率の廃水処理プロセスの開発。また、多様なバイオマスから水素を高効率かつ安定的に製造するための水素発酵用の微生物フローラの開発に取り組んでいます。大学理念である「4つの精神」に基づいて、これらの開発技術を実用化し、SDGs6(安全な水とトイレを世界に)達成をすることを目指し、「水」、「インド」、「横浜地域の産官学連携」を切り口にした人的なネットワークづくりにも積極的に取り組んでいます
研究テーマ | 複合微生物の制御によるシステムの機能改善 |
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自然環境や人工環境にはさまざまな生物システムがあります。当研究室では生物化学工学を基盤として生物システムの機能の改善を目指した研究を行っています。研究対象とする生物システムは多種多様な微生物で構成されるシステム(複合微生物系)です。システムの機能を左右する原因微生物を特定し、それらを特異的に制御する方法の開発に取り組んでいます。写真は下水処理を担う微生物群(活性汚泥)中の糸状性の細菌を蛍光顕微鏡で撮影した画像です。下水処理では処理の最終工程において活性汚泥と処理水とを沈殿により分離します。しかし写真のような糸状性細菌が活性汚泥中に過剰に増殖すると、活性汚泥の沈降性が悪化し、処理水とともに活性汚泥が自然環境に流出するトラブルが生じます。下水処理の性能を損なわずに活性汚泥の沈降性を向上するには、原因となる糸状性細菌種を特定し、その増殖を特異的に制御する必要があります。
研究テーマ | グリーン水素社会に貢献する機能性材料の創製 |
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学術的には界面で起こる物理化学現象、特に電気化学現象に焦点をあてて、電気エネルギーと化学エネルギー間の相互変換を利用したエネルギー貯蔵・利用技術を研究しています。工学(社会)的には国連が提唱する「持続可能な開発目標」(SDGs)に貢献するだけでなく、さらにその先のエネルギー社会のための研究開発を目指し、水素エネルギー、特にグリーン水素(再生可能エネルギー由来の電力で製造した水素)などのクリーンな今後のエネルギー社会に貢献するため、そこに必要な、また必要とされる電気化学デイバス(装置)の材料研究を行っています。具体的には水素利用デバイスである燃料電池と水素製造デバイスである水電解の電極材料の高性能化及び高耐久化、そしてそれらの応用展開を行うと共に、それらのデバイスの電極反応の基礎的解明を行っています。
研究テーマ | 化学反応器内の移動現象を見て理解していかすための研究 |
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化学、製薬、食品工業などの流体を対象としたプロセス産業では、低粘性から高粘性・非ニュートン流体まで、単相流から固液・気液・液液・気固液の混相流まで多様な流体現象がみられ、撹拌技術は化学反応器を適切に取り扱うために不可欠な技術となります。当研究室では、プロセス産業の中核を担う撹拌槽型反応器を対象に、特にプロセスの成否に直結する撹拌羽根まわりの流動状態や熱物質移動現象、混相流現象、呈色化学反応、結晶化現象などを、可視光レーザーや高速度ビデオカメラ、画像処理技術を駆使して実験的に観察し現象を定量化するための研究を、多くの民間化学会社をパートナーとして積極的に進めています。さらに、同装置内の現象を数値流動解析(CFD)により再現し豊富な実験データにもとづいて検証することで、撹拌槽型反応器の各要素をコンピューター上に再現し生産技術に活用することができるデジタルツイン技術の構築を目指しています。
研究テーマ | 環境分析技術の高度化による化学物質の曝露・リスク評価とリスク低減技術開発 |
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当研究室では、ストックホルム条約で製造・使用が禁止されている残留性有機汚染物質(POPs)を含めた、ハロゲン化多環芳香族炭化水素類、臭素系・リン系難燃剤、フッ素系界面活性剤、農薬、重金属など幅広い環境汚染物質を対象として、GC-MS/MS、LC-MS/MS、LC-Orbitrap-MSなど最先端分析機器を用いた様々な環境媒体中にごく微量で存在する化学物質の高感度・高精度分析法の開発を行っています。開発した環境分析技術を用いて、大気(室内)・水・生物・食物などの化学物質の汚染実態調査を行い、統計解析やシミュレーション解析を組み合わせることで化学物質の環境動態解明や発生源解明に関する研究を展開しています。これら化学物質の汚染実態や環境動態研究の結果から、ヒトへの主要な曝露経路や曝露量を高精度に評価し、ヒト健康に関する化学物質リスクの定量的な評価を最終目的にしています。また、以上の研究成果を基にした効率的なリスク低減技術の開発や、関連企業や海外研究機関(中国、バングラデシュ等)との共同研究にも積極的に取り組んでいます。
研究テーマ | ガスハイドレートの資源・省エネ・環境技術の化学工学と物理化学 |
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ガスハイドレートは水を主成分として、主に低温高圧で生成する結晶固体で、メタンハイドレートやCO2ハイドレートとして広く知られています。 非在来型天然ガス資源として期待される海底メタンハイドレートのガス生産プロセスでは、メタンハイドレートの再生成や海底堆積物による閉塞リスクがあります。当研究室では、流動剤による閉塞解消プロセスの解明や新規流動剤の開発など、流動障害対策技術の研究開発を行っています。 また、ガスハイドレートを用いたCCSや冷熱蓄熱、ガス分離・精製プロセスについても研究を行っています。新たなCCSプロセスに向けたCO2分離媒体の開発やイオン性物質を包蔵したセミクラスレートハイドレート等の新規材料開発を行い、熱物性や結晶構造の解明に取り組んでいます。これらの研究を通じて、水の持つ興味深い物理化学的性質にアプローチするとともに、これからの環境・エネルギーに貢献するための機能活用プロセスの研究開発を行っています。
研究テーマ | 省エネ・地球環境保護に貢献する熱エネルギーの有用利用 |
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国際社会において「低炭素社会の実現」に向けて、さまざまな技術開発が進められています。相原研究室では「反応工学」と「分離工学」を組み合わせた、熱エネルギー化学エネルギー間の変換技術を高度化することで省エネルギーと地球環境保護への貢献を目指しています。また「水素社会」構築を支える風力利用のグリーン水素システムの研究にも取り組んでいます。熱エネルギー有効利用技術として、ケミカルヒートポンプ・蓄熱プロセスと水蒸気改質法による水素製造プロセスの研究を行っています。これらのプロセスに二酸化炭素吸着型サイクル反応固体、水素選択分離膜、水蒸気選択透過分離膜、二酸化炭素選択吸着固体を組み合わせて、熱-熱変換、熱-化学エネルギー変換を高効率で行う熱利用システムの構築を目指しています。グリーン水素に関しては、海外好風況地の高精度風況観測と計測システムの高度化による大規模風力水素ファームの提案と解析を進めています。